がいな男  (14) 三大船成金

 がいな男は欧州大戦の前に社員60名を従え、運航船12隻で商売の拡大を目論んでいた。ロンドンに高野駐在員を派遣し世界情勢をウォッチしていた。大戦が勃発するや全ての船を欧州の船会社に貸してぼろ儲けをした。
しかし所有船を海外へ定期用船として提供したことは大きな収穫があった。船長ら乗組員に多くの知識とノウハウを習得させた。これが将来、ワールドワイドに活躍する大オペレーターの礎となった。

 三大船成金となったがいな男は、神戸の熊内に豪邸を建て、政財官界の大物を招待した。小田原の山縣有朋元帥が住む「古稀庵」の近くに別荘を持ち、この頃から日本の権力側と交流を深める工作が始まっていた。

内航海運新聞 2022/5/2