がいな男 (3)放浪時代
放浪することを英語で「Tramp」という。海運業界のトランパーというのは、不定期船のことで、より良い荷物を求めて世界の海を放浪する。
定期船はライナーといって決まった航路を決まったスケジュールで運航する。
陸上交通でいえば、ライナーはバスでトランパーはタクシーのようなものである。
海運会社に入ったら、ライナー部門よりトランパー部門の仕事に就きたいという人が多いという。自分の才覚で船を動かし、利益を上げることが魅力なのだろう。
がいな男は裸一貫で船を持ち「社外船」として気を吐いた。
(社船とは日本郵船、大阪商船のように国から助成金をうける会社)
家出した亀三郎は、迷える子羊、まるでトランパーのように日本各地を放浪した。