「トランパーの雄」出版まであと136日(開業、倒産、夜逃げ)

〜旅ゆけば駿河の国に茶の香り〜と、そこまで行かないが文明開化の音高い、ここは横浜港町。
亀さんは洋紙販売業をやろうと丁稚をやとい店を構えた。昔、製紙会社や洋紙店で働いていたこともあり、これからは洋紙の時代だと先を読んでいたが…世の中そんなに甘いものではない。
田舎では父・源次郎が(亀が嫁さんもろうた、独立し店も出したらしいが祝いをもっていかんといけん)と、旅支度。廃藩置県で東京に移った吉田の殿様・宗孝侯のご尊顔を仰ぐ用もあった。宇和島藩の宗城侯は新政府の要人となっており、弟宗孝は明治天皇の侍従を仰せつかっていた。世の中は何もかも大きく変わろうとしていた。
亀さんの店は見よう見まねの素人商売、成功するわけがない。300円もの借金をかかえ店じまい、丁稚二人に暇をだし亀さんは老松町に夜逃げ同然で引越した。ちょうど向かいの家には債権者が住んでいたが、家の表札を「山下カメ」と書いて知らんふりしていたそうだ。
300円といえば今の200〜300万円か?
すってんてんの亀さんどうするどうする…
一句
熱燗や明日は知らない夫婦酒