「トランパーの雄」出版まであと135日(臥薪嘗胆)

亀さんが夜逃げをしたころ、日本は朝鮮半島をめぐって清国と対立していた。中国は大国で「眠れる獅子」と恐れられていたが近代化された日本軍に敗れた。ニッポンはリャオトン半島、台湾を領有し、極東の小国が世界の表舞台に立ったのだ…明治28年のころだった。
しかし出る杭は打たれる、ロシア、ドイツ、フランスがいちゃもんをつけ占領した遼東半島を清に返すことを迫られた。日本一国が列強を相手では何もできない、賠償金3000万両と引き換えに遼東半島を返還したが、これを三国干渉といっている。裏にはロシアの思惑があり列強国が日本の占領を拒否した。日本国民は怒った!!抗議のデモが至る所で起こったが政府は「臥薪嘗胆」をスローガンに国民を鎮めた。
日本は賠償金をもとに軍事拡大の方向に進んだ。殖産興業政策である、八幡、釜石に製鉄所が出来て、石炭業が栄え軍需産業優先の重工業化が進んだ。
地球単位で世界を俯瞰すると、ヨーロッパの先進国は産業革命蒸気機関、電気、瓦斯などの発明で国内産業が発展し、GDPが膨張していった。必然的に資源確保や製品販売など海外に目が向く、各国は軍事力をバックに帝国主義が蔓延していった。地政学的にも国土の狭いヨーロッパ各国は外に活路を求めるしかないのである。東アジアは中国、朝鮮などを列強が鵜の目鷹の目、日本はロシアとの風雲急を告げるとき、世界は戦争の時代に入っていくのである。
話は硬くなったが、亀三郎がビジネスチャンス(石炭)をつかむのはそのような時代背景があった。
亀さんはいよいよ好景気の中で、職探しに横浜の町をうろついた。
一句
いつか咲く臥薪嘗胆桜かな