アイクと呼ばれた男 (16)辻鈔吉、大同を去る

 昭和13年、浜田は論功行賞で会社の株式、50株を貰った。また賞与として1万円を支給された。当時洋服が50円、靴が10円の時代である。浜田は1万円を貰い「どないしたらいいもんか」と、ハタと当惑したそうだ。

 浜田は15年1月北京陸軍部に召喚された。大同は秦皇島炭200万トンを引き受けていたが、国内では石炭が不足している。陸軍から配船が悪いと糾問された。氷結期の配船は定期用船契約上難しい、軍が氷による損害の責任を取って貰うならと、進言すると(この馬鹿野郎!国賊奴)と軍刀のこじりで床を叩いてお叱りを頂戴した。

内航海運新聞 2023/7/10