アイクと呼ばれた男 6 本船・輸入係

 浜田喜佐雄は本船係になって、船が着くと船員たちの郵便物を何よりも先に届けた。
長い航海で船員が喜ぶのは手紙、新聞、雑誌などである。情報や活字に飢えているのだろうか。昔、ブロガーも社船が入港すると雑誌類を持って行った。航海の短い内航船でもスポーツ新聞は喜ばれた。ブロガーは入社早々に川崎の石炭埠頭に入港中の「親和丸」を訪ねた。同じ代官山寮で同居した工務課の先輩が連れて行ってくれた。昼食を頂いたが、ステーキのランチに驚いた。船は毎日こんな食事を取っているのかと羨ましく思ったが、日曜日のランチだけは豪華版だという事で納得した。しかし代官山寮は司厨長が寮長で朝食から旅館のメニューのような豪華さだった。田舎者のブロガーは初めて食べる納豆にドギマギしたが匂いも気にならず、毎日の食事が楽しみだった。

 喜佐雄も門司で食べたパインナップル、バナナでカルチャーショックを受けたのだろうか。この頃、将来のボスとなる田中正之輔はロンドンで苦戦していた。

↑浜田出身地・白浦の蜜柑山 ↓浜田の寄付2百万円/天満宮神社

2014.9.22撮影

内航海運新聞 2023/4/24