吉田名所大観(昭和19年)小林朝治の56景画帖

 

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 小林朝治は昭和2年信州須坂からやって来た。吉田病院眼科医長として昭和6年退任するまで吉田名所56景を版画に遺した。

吉田名所大観が出る13年前に朝治は「吉田風物画帖」を出版した。朝治はその絵にモダンな詩を添えた。

 例えば「幼稚園」

お門は

おてんとふさまと 開いた。

朝の風が

藤棚の奥から出て

ポプラの葉ごとに

葉笛を吹けば、

光の子等は集って

藤の房をめぐつて

メイポール。

そして

おてんとふさんが

滑べり臺をすべれば

藤の房の影は伸び

伸蔓には夕雀、

お門は

垣の紅バラの蕾に閉ぢた。

***

 11月3日の吉田秋祭りが近づいた。おねり巡行は、八幡神社5時の卯の刻相撲から始まって8時半神輿宮出しとなる。山車などの「おねり」は御殿前から11時出発、家中町から町人町まで町内を賑やかに巡行する。

 河東碧梧桐が吉田祭禮を詠む。

   祭酒 牛鬼がむれてなだれて尾を角を

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