シネマ「トランパー」 その3

トランパー名シーン
シーン7
(喜佐方丸が御用船に)亀三郎は日露の風雲急なる時に、親戚・古谷久綱の先輩で、国民新聞創始者である徳富蘇峰の紹介を仰ぎ、御用船に使って貰いたいという願意をもって、海軍省齋藤実次官を訪ねていた。
亀三郎が御用船に差し出す手筈をしたのは、古谷が海軍大尉の秋山真之を亀三郎に紹介したのが発端だった。
真之は郷土、松山の出身である。大酒のみの二人は意気投合し、兄弟以上のつき合いとなった。
真之が(亀三郎、お前のやっている船や石炭が忙しくなるぞ!)
亀三郎は(秋山、それはロシアとの戦が始まるということか?がいな事になったのう)二人は立場も関係なく呼び捨てで天下国家を論じている。
あれから数か月が経ったが海軍から何の沙汰もない。亀三郎は九州に金策を兼ねて荷物を探しに出かけて行った。
明治36年12月も押し迫った頃、ある宿屋に泊まっていた晩だった、東京から至急電報が来た。「キサカタマルゴヨウセンメイクダル」と書かれている。亀三郎の手が震えている(これは本当か?確かに喜佐方丸がご用船に!喜佐方丸は今どこにいる?)
亀三郎の頭脳はフル回転する、本船は長崎で石炭を満載して上海に向け出港するという、ここで上海に行くとこの話はオジャンになる、積荷は三井の石炭だが国の仕事が優先だ!亀三郎は独断で(すぐ船を横浜に回航せよ!)と、大号令を発した
それからの亀三郎はどこをどう歩いたのか?大阪、東京、横浜、横須賀と目まぐるしい数日間であった