伊予吉田の文化遺産 (吉田風物畫帖/小林朝治著) 第56回【最終回】 新桟橋

この画は自著「トランパー」にも掲載した
吉田港は天然の良港、九島などの島々が防波堤となり
湾は鏡のように穏やかだ、昔はこの桟橋も賑わった
昭和35,6年頃別府にゆく宇和島運輸の船を見送った覚えがある
桟橋ではハネムーンにゆくカップルにテープが乱舞していた
今では行きかう船もいなくなった
寂しい限りである……
一首
いにしえの吉田の湊静かなり遠見の山にい出し月みるさて、最終回に際して、
昨年10月14日のブログ第1回が舊桟橋で最終の56回が新桟橋である
―桟橋に始まり桟橋に終わる―
昭和6年5月に発行した「吉田風物画帖」著者・小林朝治が愛した港の風景だった

昭和57年11月吉田町文化協会長・宮川善雄氏は復刻版を刊行した
復刊の趣旨は、
「畫帖出版以来すでに五十年、ようやくにして散逸するものも多く、再版を
望む声のしだいに高まるのを耳にする咋今でしたが、このたび吉田町文化協会が
創立十周年を迎えるにあたりまして、その記念事業のひとつとして、
これを復刻刊行することにいたしました。
古き吉田をなつかしむ人、遠くにありて故里をしのぶ人々、朝治芸術に触れ
ようとする若人たち、こうした皆様方に対しまして、また町文化のかぎり
ない発展をねがう当協会にとりましても、この企画は、まことに時宜をえた
ものであり、有意義なものであることを自負いたしております。この畫帖が
皆様方のこよなき座右の一巻として愛読され、さらに長く後世に伝えること
ができれば、幸せこれにすぐるものはありません」
と記されている
***
「吉田風物詞帖」は国会図書館デジタルコレクションでネットに公開されている