『欧米独断』 これやかれや 南米を去り欧州へ

清家吉次郎は、「これやかれや」で南米を去るにあたり和歌を詠んでいる

 19日朝7時古谷公使以下館員、両邦字新聞社長等停車場に来られ、ラ、プラタ埠頭ローヤルメールのデスナ號に乗る、終日スイフト会社の生肉を積取り夕6時に至りて解纜
   快よき秋の南の国よさらばあんつなるきたのよしあつくとも
 20日未明モンデヴィデオ着正午まで例の生肉を積みて洋上に出づ
   濁江のラ、プラタ河を船出してあゆを湛ふる洋の水色
 23日から24日までリオ、デ、ジャネーロ港に停泊
    天の川流れて海にそそぐことうたがわれぬるリオの街の灯 
 6月4日牛過ぎよりカナリア島の一つを左舷にして進む、近けれど霞みて、こまやかなものは見えず
   「國盡し」歌ひ囀り学びてし「カナリア島のさと」が島見ゆ 
 7日リスボン着卓友の医師二人上陸す
ともにししつくゑ淋しくなりぬらんまさきくあれよポルトガルひと

 さて、第三篇の欧州編は、下記の如く各国の国情・政治・経済に及ぶ大論文となっている
第一章 老大の英國、 第二章 佛蘭西(フランス)論、 第三章 瑞西(スイス)論
第四章 伊太利(イタリア)論、第五章 白耳義(ベルギー)、和蘭(オランダ)と瑞典(スエ―デン)、丁抹(デンマーク)
第六章 獨逸(ドイツ)論、第七章 露西亞(ロシア)論