「トランパーの雄」出版まであと123日(沈む船)

前途洋々で船出した山下丸は巨万の富を手にするが、山林開発や韓国の倉庫業などベンチャー事業に手を出した。(商売と屏風は広げ過ぎると倒れる)といわれるが日露戦後の大不況で、投資した株式は暴落し紙屑同然になった。
数百万円の利益が120万円という巨額の借金に変わっていた。投資仲間の相棒は株の買いに回って大きな負債を抱え込み、自殺に追い込まれた。
亀さんもレールに横たわり最後を決しようかとしたが、寸前で思い留まった。
沈みゆく船もスタビリティ[復元力]で浮上するというアルキメデスの原理がある。山下丸もどん底から浮き上がり沈没を免れた。
明治人の気骨、気概は艱難辛苦を撥ね退けた。
亀さんは家族を逗子の別邸に住まわせ召使、車夫、書生に暇をだし、自分は品川で借家住まいとなる。
亀さんは横浜を去る時、捲土重来を誓った。亀さん自伝「沈みつ浮きつ」のストーリーは続く…
一句
月冴えて寒さ身にしむ落ち葉かな