『欧米独断』 第一北米篇  布哇と呂宋

この本の目次は、第一 北米篇、第二 南米篇、第三 欧州篇、第四 これやかれや、
となっている

第一北米篇の書き出しはこうである

 私は2月26日の朝3時に床を出て下弦の織月に向かって正東に駛る「これあ」丸の甲板でこういうことを考えた。人間万事塞翁の馬ならざるはなし、禍福は糾える縄の如しひとたび来り一度は去ると文豪馬琴の慣用文字が国際上にも適用せらるべきことを。
 憶へば布哇の老王はその一粒種の王女リリオカラニの為に、亦王国の前途の為に謀って、極東日出の国から然るべき婿がねを得たいと苦心したのはまだ明治の十何年といふ頃であった。(後略)

吉次郎は非常な読書家で博覧強記の名物男の文章は肩がこるが、乗り掛かった船でブロガーの独断と偏見で気に入った文章のみ今後はアップしたい

(吉次郎愛用のシルクハット・三越製、サイズ7号)