「トランパー」出版まであと98日(船成金)

【お知らせ】
ペンネーム「宮本しげる」は単行本「トランパー」を
2016年1月15日、愛媛新聞サービスセンターより発行します

欧州ではドイツ潜航艇が多くの商船を撃沈させた。このため2700万総トンの船がマーケットから消え、我が国の社外船「トランパー」の好機到来ある。亀三郎はこの大戦で年間2900万円を稼いだ。当時の総理大臣の年俸は1万2千円で莫大な利益は推して知るべしである。
戦争バブルでにわか成金が続出、ある船成金が料亭で豪遊し帰ろうとすると、玄関の所で女中が「暗くてお靴が分からないわ」という。成金は百円札を燃やして「どうだ明るくなったろう」と満面に笑みを浮かべている。また中には朝鮮に虎退治に行き、帝国ホテルでトラ料理をふるまったそうな。嘘みたい話があるが、船成金の醜態が世間の人からひんしゅくを買うほど、巨額の富をもたらした。
3大船成金はそこまで破廉恥なことはしなかったが、競って広大な別荘を建てた。亀三郎は田舎の「筋」というシーサイドに母ケイのために、数寄屋風書院造りの贅沢なものを建てた。目の前は宇和海でクジラが泳いでいる設定で「鯨御殿」と呼ばれた。落成式は、別荘前の広場に近隣から招待者が大勢押寄せ、空前絶後の出来事で村はわき上がった。
亀三郎は壮大な別荘を箱根、軽井沢など数か所に造った。小田原には、隣人の山縣有朋が名を付けた「対潮閣」という別荘を建てた。
山縣有朋の隣にわざわざ別荘を建てたという説もあるぐらい、亀さんの人脈つくりは人一倍のものだった。山縣を通じて国政参与者を知り益々ビジネスの幅が広がるのである。
ちょうど時間となりました、ちょと一息また講演〜。
筋浦や鯨潮吹く春の夢

(法華津峠下より宇和海を望む)

(白浦から法花津湾を望む)