「トランパーの雄」出版まであと133日(30にして立つ)

亀三郎はある人の伝手で竹内兄弟商会の番頭になる。ここで修業した亀三郎は明治31年この店の石炭部を暖簾分けしてもらい、独立「山下石炭商会」を旗揚げする。石炭という新エネルギーが日本近代化の大事な資源となるのである。この石炭が遠く北海道、九州に多く産出したので、この輸送にわが内航海運が発展した。三菱、三井、住友、北炭などの大資本が石炭産業の大手として凌ぎを削った。亀さんはこの黒ダイヤと呼ばれた石炭販売で大儲けをするのである。
ベンチャービジネスを立ち上げた亀さんは人脈つくりに一番心血を注いだ。電力の王といわれた福澤桃介や、松永安左衞門に近づき口八丁手八丁で籠絡するのである。昔の吉原の遊びが芸の肥やしとなりカッポレを踊り人たらしの真骨頂を発揮し販路を拡大した。
その頃、横浜港から華々しくヨーロッパ向けに日本郵船の土佐丸が出港する汽笛を聞いた。「よーし、俺も男になって自分の船でロンドンと横浜を繋いでやる!!」と亀さんは誓うのである。亀さんに転機がくる、石炭、船と亀三郎のまわりには未来の海運王となるアイテムが現出してくるのである。
いよいよ亀さん、船を持つチャンスがおとづれる。
ここのくだりは本編「トランパーの雄」副題「伊予吉田の海運偉人伝」をご照覧あれ〜
一句
銅鑼がなる早春船出黒ダイヤ